>>537 部屋に入って少し空気が和らいだタイミング—— ⸻ 客「ねえ、ちょっと聞いていい?」 嬢「うん、どうしたの?」 客「君ってさ、高級店でも通用すると思うんだけど、なんで激安店で働いてるの?」 嬢「……急にくるね、その質問。」 客「いや、普通に疑問でさ。見た目も接客も悪くないし、むしろそっちの方が稼げるでしょ?」 嬢「“そっちの方が”って簡単に言うけどさ。」 客「違う?」 嬢「違うね。高級店って“見た目がいい”だけじゃ無理だから。」 客「へえ、例えば?」 嬢「常連の付き方、会話の質、空気の読み方、あと裏での営業力。全部ひっくるめて評価される世界。」 客「でも君ならできそうじゃん。」 嬢「それ、今日ちょっと話しただけで判断してるでしょ?」 客「まぁ第一印象だけど」 嬢「そういう“雰囲気で持ち上げる客”、正直いちばん信用してない。」 客「厳しいな(笑)」 嬢「現実的な話するとね、ここは回転がいい。指名のハードルも低いし、その分ちゃんと数こなせる。」 客「量で勝負ってことか。」 嬢「それもあるし、自分のペース守れるのが大きい。高級店って、1本の重さが全然違うから。」 客「プレッシャー?」 嬢「プレッシャーもだけど、“期待値の固定”かな。一回気に入られたら、ずっとそのレベル求められる。」 客「あー、下げられないやつね。」 嬢「そう。こっちは人間だから波もあるのに、“商品”として見られる度合いが強くなる。」 客「それはこっちも同じじゃない?」 嬢「同じじゃないよ。ここはまだ“外しても許される余白”がある。」 客「なるほどね。」 嬢「あとさ、“高級店行けば上”って発想も、ちょっと単純すぎ。」 客「刺さるな(笑)」 嬢「どこで働くかって、“格”じゃなくて“戦い方”だから。」 客「戦い方、ね。」 嬢「うん。私は今のやり方が合ってるだけ。それだけの話。」 客「…思ってたよりちゃんとしてる理由だったわ。」 嬢「逆に何だと思ってたの?」 客「なんとなく逃げてるのかなって。」 嬢「そう見えるなら、それでいいよ。結果出てるから。」